会報誌「罪と罰」に関するお知らせ

「罪と罰」(令和6年6月号)発行のお知らせ

 「罪と罰」第61巻3号(令和6年6月号)の論説のテーマは、「矯正の新しい制度の運用状況について」です。

 近時、刑事政策に関わる制度改正・法改正が続いていますが、矯正をめぐっても、民法上の成年年齢の引下げ等に伴い「特定少年」の制度が整備され(令和4年4月施行)、被害者等の心情等の聴取・伝達制度や社会復帰支援の規定の整備(同5年12月施行)、拘禁刑の創設(同7年6月までに施行)といった大きな動きがありました。そこで、本号においては、こうした法改正を受けて、成人矯正及び少年矯正がどのように変わったのか、矯正の新しい取組についてご紹介します。

 まず、法改正の経緯・概要など新しい制度の全体像について、川出敏裕氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)にご説明していただいた上、矯正局の担当官から、成人矯正については若年受刑者処遇の充実という視点で(佐伯温氏)、少年矯正では特定少年に対する矯正教育の実施という視点(藤原尚子氏)と少年鑑別所の専門機能の活用という視点(等々力伸司氏)で、さらに、被害者等の心情等の聴取・伝達制度の概要等(荘雅行氏)を説明していただきました。

 本特集に際しては、〈巻頭言〉において、花村博文氏(矯正局長)から、「拘禁刑下における新たな処遇の実現、そして、その先を見据えて~地域とのつながりの中で~」とのご寄稿をいただいたほか、〈刑事実務の現場から〉のコーナーでは、本田久人氏(矯正協会常務理事)から、刑務作業における「矯正協会刑務作業協力事業部作業」について、拘禁刑を見据えた事業部作業のあり方という視点でのご論稿をいただきました。

 そのほかにも、〈海外の刑事政策のいま〉では、明石史子氏(前アジ研教官)から、京都コングレスを受けて、日本が主導して再犯防止に関する国連準則を策定することとなったその経緯と現在の国際的議論の概要について、また、〈刑事政策の窓〉では、王本優花氏(法務省刑事局付)から、近時の性犯罪関係の法改正として、令和5年6月の刑法等の一部改正の概要についてご紹介いただきました。

 以上、次号(6月号)の概要をご紹介させていただきました。皆様のお手元に雑誌が届くまで、今しばらくお待ちください。なお、次々号(9月号)の論説では、「特殊詐欺」について取り上げる予定です。こちらもお楽しみにお待ちください。

「罪と罰」(令和6年3月号)発行のお知らせ

 「罪と罰」第61巻2号(令和6年3月号)の論説では、「保護司制度」について特集します。

 まず、吉田研一郎氏(全国保護司連盟事務局長)に保護司制度の歴史と概要を、髙橋督寿氏(法務省保護局更生保護振興課補佐官)にその現状と課題を、渡邊宏之氏(法務省保護局総務課補佐官)に保護司制度に関する国際発信の実績をご紹介いただきました。ただ、日本が明治期から培ってきた更生保護ボランティアである保護司制度もいくつかの課題に直面しており、それらを乗り越えて発展させていくことが求められています。そこで、中島祐司氏(法務省保護局更生保護振興課企画調整官)に「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」の進ちょく状況等を説明していただき、保護司として豊富な実績を有する山元俊一氏(東京都豊島区保護司会会長)に「これからの保護司像」を提言していただきました。

 本特集にあわせて、〈巻頭言〉では、押切久遠氏(法務省保護局長)に、保護司制度の現在・過去・未来に関し、含蓄に富む内容のご寄稿をいただきました。また、〈刑事政策とボランティア〉では、青年ボランティア団体である「BBS」を小特集の形で取り上げ、今福章二氏(特定非営利活動法人日本BBS連盟会長)には、2023年に改訂された新たなBBS運動基本原則を解説いただき、高橋有紀氏(福島大学行政政策学類准教授)には、2022年に福島大学で立ち上げられた学域BBS会の活動状況をご紹介いただき、その意義や課題も提示していただきました。

 〈寄稿〉では、太田達也氏(慶應義塾大学法学部教授)に、2023年12月6日に成立した「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の内容を解説いただきました。また、〈広報〉として、刑事政策に関する懸賞論文募集の結果を掲載しました。受賞者の皆さま、おめでとうございます。これからもぜひ多くの方々からご応募いただければ幸いです。

 以上、次号の概要をご紹介させていただきました。皆様のお手元に雑誌が届くまで、今しばらくお待ちください。なお、次々号(令和6年6月号)の論説では、「矯正の新しい制度の運用状況」について取り上げる予定です。こちらもお楽しみにお待ちください。