会報誌「罪と罰」に関するお知らせ

「罪と罰」(令和6年12月号)発行のお知らせ

「罪と罰」第62巻1号(令和6年12月号)の論説では、毎年恒例となりましたが、近く発行される「令和6年版犯罪白書」を取り上げました。本年の白書の特集は、「女性犯罪者の実態と処遇」です。

まず、瀬戸毅・法務省法務総合研究所長から、<巻頭言>において、犯罪白書の特集部分を中心に、その骨子についてご紹介いただきました。

続いて、<論説>において、安井哲章・中央大学法学部教授から、「犯罪白書は現代社会を映す鏡のひとつである」との御考察の下、同白書のルーティーン部分についてご紹介いただき、さらに、渡邉和美・警察庁科学警察研究所犯罪行動科学部長からは、特集部分に関連して、女性犯罪者の生きづらさやニーズへの対応をテーマに、ジェンダーに配慮した処遇、メンタルヘルスの問題と就労支援、帰住先と環境調整に関する課題等のご考察・ご提案をいただきました。このほか、同白書の作成に携わった法務省法務総合研究所研究部の芦沢和貴室長研究官と西平俊秀室長研究官から、概要紹介やポイントのご説明をいただきました。

<海外の刑事政策のいま>では、後藤圭介・法務省法務総合研究所国際協力部教官から、モンゴル国の刑事政策に関する法制度整備支援に関し、司法関連統計共同研究、モンゴル国立法律研究所とのワークショップ、モンゴル国に対する今後の法整備支援に係る展望等をご紹介いただきました。

<刑事政策とボランティア>では、高岡令子・香川県観音寺更生保護女性会会長から、同女性会と他のボランティア団体との連携状況や、女子少年院である「丸亀少女の家」との交流活動について、<刑事実務の現場から>では、水本和彦・高知地方検察庁検事正から、同検察庁における農福連携等による入口支援の取組について、<刑事政策の窓>では、河本麻由美・法務省大臣官房国際課付から、本年6月から7月にかけて東京で開催された「第1回ASEAN・G7ネクスト・リーダーズ・フォーラム」について、それぞれご紹介いただきました。

そのほか、林眞琴・弁護士・元検事総長からは、不祥事が発生した場合における組織の危機管理(説明責任を果たすプロセスの重要性)と第三者委員会の重要性等に関し、ご寄稿をいただきました。

皆様のお手元に雑誌が届くまで、今しばらくお待ちください。なお、次号(令和7年3月号)の論説では、性犯罪を特集する予定ですので、こちらもお楽しみにお待ちください。

「罪と罰」(令和6年9月号)発行のお知らせ

 「罪と罰」第61巻4号(令和6年9月号)の論説のテーマは、「特殊詐欺」です。

 わが国で、特殊詐欺は、依然として多大な被害をもたらしている深刻な社会問題ですが、その犯罪手法も次々と変化してきています。また、特殊詐欺の実行犯についても、「トクリュウ」とも呼ばれる「匿名・流動型犯罪グループ」として、少年や若年成人が不十分な認識で加担してしまっているケースも見られます。そこで、本誌61巻4号では、こうした特殊詐欺について特集を組み、こうした特殊詐欺の問題を多角的に検討することとしました。

 巻頭言として、前法務省刑事局長(現最高検察庁刑事部長)の松下裕子氏に詐欺被害の重大さについてご執筆いただきました。そして、法務省・警察庁における第一線の7名の方々(法務省刑事局付・菅原奉文氏、函館少年刑務所教育専門官・貞包隆満氏、前和歌山刑務所教育専門官(現西日本成人矯正医療センター教育専門官)・谷岡明氏、前駿府学園首席専門官(現大分刑務所分類教育部首席矯正処遇官)・出海孝市氏、前関東地方更生保護委員会委員長・大塲玲子氏、前警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策第二課課長補佐・藤田佳宏氏、警察庁科学警察研究所犯罪行動科学部犯罪予防研究室主任研究官・齊藤知範氏)に、特殊詐欺に関する現状・課題・対策などをご執筆いただきました。 

 また本号においては、〈寄稿〉として、筑波大学人間系教授の濱口佳和氏及び国連地域間犯罪司法研究所・法務省矯正局成人矯正課の山本麻奈氏に、単独犯による重大事犯について、プロフィール分析、犯行に至るプロセスの分析などの観点からの海外での先行研究を日本の事件に適用して、特徴とプロセスの解明を試みるとともに、同種犯罪への対策を検討いただきました。

 〈刑事政策とボランティア〉では、中部地方BBS 連盟副会長・愛知県BBS 連盟副運営委員長の榊原葵氏に、BBS活動を始めた時から現在に至るまでのBBS活動に関するご自身の歩みをご紹介いただきました。さらに、〈刑事実務の現場から〉において、東北地方更⽣保護委員会委員長の瀧澤千都子氏にも、いわゆる「82条調査・調整」と「りすたぽ」を中心に更生保護官署における「息の長い支援」の取組についてご紹介いただいております。

 以上、9月号のご紹介をさせていただきました。皆様のお手元に雑誌が届くまで、今しばらくお待ちください。なお、次号(12月号)の論説では、令和6年版犯罪白書を特集する予定ですので、こちらもお楽しみにお待ちください。

「罪と罰」(令和6年6月号)発行のお知らせ

 「罪と罰」第61巻3号(令和6年6月号)の論説のテーマは、「矯正の新しい制度の運用状況について」です。

 近時、刑事政策に関わる制度改正・法改正が続いていますが、矯正をめぐっても、民法上の成年年齢の引下げ等に伴い「特定少年」の制度が整備され(令和4年4月施行)、被害者等の心情等の聴取・伝達制度や社会復帰支援の規定の整備(同5年12月施行)、拘禁刑の創設(同7年6月までに施行)といった大きな動きがありました。そこで、本号においては、こうした法改正を受けて、成人矯正及び少年矯正がどのように変わったのか、矯正の新しい取組についてご紹介します。

 まず、法改正の経緯・概要など新しい制度の全体像について、川出敏裕氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)にご説明していただいた上、矯正局の担当官から、成人矯正については若年受刑者処遇の充実という視点で(佐伯温氏)、少年矯正では特定少年に対する矯正教育の実施という視点(藤原尚子氏)と少年鑑別所の専門機能の活用という視点(等々力伸司氏)で、さらに、被害者等の心情等の聴取・伝達制度の概要等(荘雅行氏)を説明していただきました。

 本特集に際しては、〈巻頭言〉において、花村博文氏(矯正局長)から、「拘禁刑下における新たな処遇の実現、そして、その先を見据えて~地域とのつながりの中で~」とのご寄稿をいただいたほか、〈刑事実務の現場から〉のコーナーでは、本田久人氏(矯正協会常務理事)から、刑務作業における「矯正協会刑務作業協力事業部作業」について、拘禁刑を見据えた事業部作業のあり方という視点でのご論稿をいただきました。

 そのほかにも、〈海外の刑事政策のいま〉では、明石史子氏(前アジ研教官)から、京都コングレスを受けて、日本が主導して再犯防止に関する国連準則を策定することとなったその経緯と現在の国際的議論の概要について、また、〈刑事政策の窓〉では、王本優花氏(法務省刑事局付)から、近時の性犯罪関係の法改正として、令和5年6月の刑法等の一部改正の概要についてご紹介いただきました。

 以上、次号(6月号)の概要をご紹介させていただきました。皆様のお手元に雑誌が届くまで、今しばらくお待ちください。なお、次々号(9月号)の論説では、「特殊詐欺」について取り上げる予定です。こちらもお楽しみにお待ちください。

「罪と罰」(令和6年3月号)発行のお知らせ

 「罪と罰」第61巻2号(令和6年3月号)の論説では、「保護司制度」について特集します。

 まず、吉田研一郎氏(全国保護司連盟事務局長)に保護司制度の歴史と概要を、髙橋督寿氏(法務省保護局更生保護振興課補佐官)にその現状と課題を、渡邊宏之氏(法務省保護局総務課補佐官)に保護司制度に関する国際発信の実績をご紹介いただきました。ただ、日本が明治期から培ってきた更生保護ボランティアである保護司制度もいくつかの課題に直面しており、それらを乗り越えて発展させていくことが求められています。そこで、中島祐司氏(法務省保護局更生保護振興課企画調整官)に「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」の進ちょく状況等を説明していただき、保護司として豊富な実績を有する山元俊一氏(東京都豊島区保護司会会長)に「これからの保護司像」を提言していただきました。

 本特集にあわせて、〈巻頭言〉では、押切久遠氏(法務省保護局長)に、保護司制度の現在・過去・未来に関し、含蓄に富む内容のご寄稿をいただきました。また、〈刑事政策とボランティア〉では、青年ボランティア団体である「BBS」を小特集の形で取り上げ、今福章二氏(特定非営利活動法人日本BBS連盟会長)には、2023年に改訂された新たなBBS運動基本原則を解説いただき、高橋有紀氏(福島大学行政政策学類准教授)には、2022年に福島大学で立ち上げられた学域BBS会の活動状況をご紹介いただき、その意義や課題も提示していただきました。

 〈寄稿〉では、太田達也氏(慶應義塾大学法学部教授)に、2023年12月6日に成立した「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の内容を解説いただきました。また、〈広報〉として、刑事政策に関する懸賞論文募集の結果を掲載しました。受賞者の皆さま、おめでとうございます。これからもぜひ多くの方々からご応募いただければ幸いです。

 以上、次号の概要をご紹介させていただきました。皆様のお手元に雑誌が届くまで、今しばらくお待ちください。なお、次々号(令和6年6月号)の論説では、「矯正の新しい制度の運用状況」について取り上げる予定です。こちらもお楽しみにお待ちください。